日本に昔から受け継がれてきた年末の習慣といえば「お歳暮」。
日ごろお世話になっている人や取引先へ感謝の気持ちを込めて贈るものですが、受け取った側にも忘れてはならない大切なマナーがあります。
それが「お礼状」を出すことです。
単に受け取って終わりにするのではなく、心を込めてお礼を伝えることで、贈り主の気持ちに応えることができます。
形式的なものであっても、一言添えられた感謝の言葉は相手に好印象を与え、今後の関係性をより円滑にしてくれるものです。
お歳暮を受け取ったら、できるだけ早めにお礼を伝えることが大切です。
感謝をすぐに表すことで、相手に誠意が伝わり、ビジネスにおいてもプライベートにおいても信頼関係をより強いものにできます。
少しの手間をかけるだけで、人間関係を長く良好に保つことができるのです。
この記事では、お歳暮のお礼状を書く時に押さえておきたい基本的なマナーをはじめ、ビジネス向けと親しい相手向け、それぞれにふさわしい文例を紹介します。
そのまま使える文例集としてまとめてありますので、ぜひご活用いただき、スムーズに気持ちを伝える参考にしてみてください。
お歳暮お礼状の基本マナー
まず押さえておきたいのは、お歳暮のお礼状を書く時の基本的なタイミングと内容のポイントです。
これを意識するだけで、相手に失礼なく、かつ気持ちがしっかり伝わる文章になります。
送る時期:お歳暮を受け取ったら、できるだけ早めにお礼を伝えることが大切です。
理想は受け取り後2〜3日以内。
忙しい場合でも、遅くとも1週間以内にはお礼状を送るようにしましょう。
タイミングを逃すと、感謝の気持ちが伝わりにくくなってしまうため注意が必要です。
内容に含めるべき要素
季節の挨拶
例:「師走の候」「寒冷の折」など、時期に合った表現を添えることで文章に季節感が生まれます。
感謝の言葉
例:「このたびは丁寧にありがとうございました」など、受け取ったことへの率直な感謝の気持ちを伝えましょう。
贈り物に対する感想
例:「社員一同でおいしくいただきました」や「家族みんなで楽しませていただきました」など、具体的に触れると相手に喜ばれます。
相手の健康や繁栄を願う言葉
例:「ご健勝をお祈り申し上げます」「ますますのご活躍をお祈りいたします」など、最後に相手を気遣う一文を添えると印象が良くなります。
形式について:正式には手紙やはがきで送るのが一般的ですが、近年のビジネスシーンではメールでのお礼も広く使われるようになっています。
どちらで送るにしても、内容がていねいであれば形式はそこまで気にする必要はありません。
お歳暮のお礼状で大切なのは、文章の長さや立派さではなく、いかに早く、誠意をもって伝えるかです。
早めに、かつ気持ちを込めて送ることで、贈り主との信頼関係をより良いものにできます。
ビジネス向け お歳暮お礼状 文例
取引先や目上の方へ送る場合は、堅めの表現と形式的な書き方が無難です。
以下はそのまま使える例文です。
文例1:取引先企業宛
拝啓 師走の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたびは結構なお歳暮の品をお送りいただき、誠にありがとうございました。
社員一同にてありがたく頂戴いたしました。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
文例2:上司・恩師宛
拝啓 寒冷の候、先生におかれましてはますますご健勝のことと存じます。
このたびは心のこもったお歳暮をお贈りいただき、厚く御礼申し上げます。
いただきました品は家族皆で美味しくいただきました。
本年も何かとお世話になりましたこと、改めて感謝申し上げます。
来年も変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
ビジネスでは特に「今後ともよろしくお願いいたします」という一文が信頼関係を強めるポイントです。
親しい方への お歳暮お礼状 文例
友人や親戚など、親しい関係であれば、形式ばった言葉よりも温かみのある文面が好まれます。
文例1:親戚宛
○○様
先日は心のこもったお歳暮をいただき、ありがとうございました。
家族みんなで美味しくいただき、温かな気持ちになりました。
寒さ厳しい折ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
文例2:友人宛
○○ちゃん
先日は素敵なお歳暮をありがとう!
毎日美味しくいただいて、家族で大喜びしています。
年末はバタバタするけど、体調に気をつけてね。
来年また会えるのを楽しみにしています。
親しい間柄では「心が伝わること」が一番。硬すぎる文章より、普段の会話に近い言葉を選ぶと好印象です。
メールで送る場合の文例
最近では、メールでのお礼も増えています。
特にビジネスではスピードが重視されるため、まずはメールで感謝を伝え、その後、正式なお礼状を郵送するのが理想的です。
件名例
「お歳暮のお礼」
「このたびはお心遣いありがとうございました」
本文例
○○株式会社 △△様
平素より大変お世話になっております。□□株式会社の××です。
このたびは心のこもったお歳暮を頂戴し、誠にありがとうございました。
社員一同にて美味しくいただいております。
本年もご厚情を賜りましたこと、改めて御礼申し上げます。
来年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
お礼状を書くときの注意点
遅れないこと:お歳暮を受け取ってから時間が経つと、感謝の気持ちが薄い印象を与えてしまいます。
金額や具体的な品名に触れすぎないこと:感謝は伝えつつ、過剰に持ち上げる必要はありません。
形式と関係性のバランス:ビジネスでは堅く、親しい相手には柔らかく。
まとめ
お歳暮をいただいたら、「早く・丁寧に・心を込めて」お礼状を送ることが最も大切です。
迅速に、そして誠意をもって感謝の気持ちを伝えることで、贈り主に好印象を与えることができます。
ビジネスシーンでは、礼儀正しい定型文を使うことで安心感を示せます。
内容がきちんとしているだけで、相手に信頼感を与えることができるのです。
一方で、親しい友人や家族、長年の付き合いのある方には、少し砕けた温かみのある言葉を添えると、より心に響くお礼状になります。
メールでお礼を伝える方法も便利ですが、可能であれば手紙で一言添えると、より気持ちが伝わりやすくなります。
手書きの文字やちょっとした工夫が、相手に特別感を感じさせるポイントです。
お礼状は単なるマナーとして書くものではなく、相手との信頼関係を深める大切なコミュニケーション手段です。
些細な気遣いや丁寧な表現を加えることで、相手との関係性がさらに良好になり、年末年始を気持ちよく迎えることにつながります。
年末の忙しい時期でも、少しの工夫で心のこもったお礼状を送り、贈り主に感謝の気持ちをしっかりと伝えてみてください。

